ゼンハイザー HD 560S 評価まとめ 定位が正確な開放型の定番
ゼンハイザーの開放型ヘッドホン「HD 560S」は、海外の発売から約 6 年たった今も日本の公式ストアで売られ、VGP では VGP2026 まで 10 回続けて賞を受けました(最新の VGP2026 SUMMER では選外)。RTINGS の計測では、音が平坦で、左右の定位も正確でした。マイクの足し方と、いま買う時の注意もまとめました。

厳選した理由(実績)
- 発売からの年数海外では 2020 年 9 月 24 日(ゼンハイザーの発表)、日本では 2021 年 4 月 28 日(AV Watch)に発売されました。海外の発売から約 6 年たった今も、日本の公式ストアで売られています(2026 年 10 月 7 日時点で在庫あり)。(AV Watch)
- 受賞映像・音響機器の賞 VGP で、VGP2021 SUMMER から VGP2026 まで 10 回続けて選ばれました。うち VGP2021 SUMMER〜VGP2023 の 4 回は、「開放型オーバーヘッド型ヘッドホン(1 万円以上 3 万円未満)」部門の金賞です。VGP2023 SUMMER からは金賞ではない受賞で、最新の VGP2026 SUMMER では選ばれていません。(VGP2021 SUMMER)
- 計測(RTINGS)RTINGS の計測では、音の傾向は平坦(Flat)で、左右のドライバーがよくそろっていました。そのため定位が正確で、敵の位置をつかみやすいとしています。ただし、有線のゲーム向けとしての評価は「まずまず(okay)」です。それも、マイクを使わないか、外付けのマイクがある場合に限る、という条件付きです。(RTINGS)
- 計測(Audio Science Review)Audio Science Review は 2022 年 1 月に公開した計測で、目標の特性に広い範囲でよく沿っていて、EQ をしなくても良い音で聞けるとしました。結論は「そのままでも推奨、EQ をすればなおさら」です。(Audio Science Review)
どんなヘッドホンか
耳を覆う開放型の有線ヘッドホンです。38mm のダイナミックドライバーで、インピーダンスは 120Ω、重さは約 240g(ケーブルを除く。日本での発売時の発表)。イヤーパッドはベロアで、交換できます(diyaudioheaven)。ドライバーを傾けて(約 9°、diyaudioheaven)、スピーカーを三角形に置いた時の聞こえ方を再現する、とゼンハイザーは説明しています。
音の傾向は平坦です(RTINGS)。低音は少し控えめで(RTINGS は -4dB)、4kHz より上がやや多めです(Audio Science Review)。What Hi-Fi? は、広がりがあり細かい音まで聞こえる一方、勢いや活気では他の製品に負けるとして、5 つ星のうち 4 つにしました(2021 年 3 月)。
ゼンハイザーは日本のサイトでも HD 560S をゲーム向けに紹介し、音の方向をつかみやすいと説明しています。diyaudioheaven も、左右の広がりが大きいのでゲームにも向く(ただしマイクは無い)としています。一方、プロ選手の使用は少なく、ProSettings では 2,431 人中 1 人です(2026 年 10 月 7 日時点)。上位は、密閉型でマイクを付け外しできるヘッドセットが占めています。
いま買う時の注意
2026 年 10 月 7 日時点で、ゼンハイザーの日本の公式ストアでは 29,920 円で在庫があります。終売や後継の発表は見当たりません。国内の取り扱いは Sonova Consumer Hearing Japan で、公式ストアの販売業者はキヤノンマーケティングジャパンです。
ただし、ゼンハイザーの一般向け製品の事業を持つスイスの Sonova は、2026 年 3 月 23 日にこの事業を売る方針を発表しました(AV Watch)。Sonova は年次報告で、2027 年 3 月までの年度中に売却を終える見込みとしています。10 月 7 日時点で、売却先や、HD 560S の販売・保証が変わるという発表は見当たりません。
付属ケーブルは途中で変わりました。発売時は 3m で 6.3mm の標準プラグ(3.5mm への変換付き)でしたが、今の版は 1.8m で 3.5mm プラグ(ねじ込み式の 6.3mm 変換付き)です。diyaudioheaven は、変わったのは 2022〜2023 年ごろで、古い版は少し明るい音だとしています。
同じ HD 500 シリーズには、2025 年 4 月 2 日に、価格が上の兄弟機 HD 550 が出ました(オープン価格。発売時の店頭予想価格は 54,450 円前後、公式ストアは 10 月 7 日時点で 49,940 円)。HD 600 シリーズの技術を取り入れた新製品ですが、ゼンハイザーはシリーズの中で音質の優劣はつけず、音の傾向が違う兄弟機としています(PHILE WEB)。同じころ、Amazon.co.jp だけで売る兄弟機の HD 505 も出ました(2025 年 2 月発売、オープン価格)。HD 550 とはドライバーが違い、低音の強調を控えた分析的な音だとゼンハイザーは説明しています(PHILE WEB)。AV Watch は 2025 年 3 月の時点で、この 2 機種が出ても終売になる HD 500 シリーズは無い、と伝えています。
プロ向けの HD 400 PRO(2022 年 3 月発売、発売時の店頭予想価格 36,300 円前後)は、中身が同じでロゴと付属ケーブルが違う、と diyaudioheaven は書いています。
diyaudioheaven は偽物の写真を見たことがあるとして、ゼンハイザーの直販か、信頼できる店で買うよう勧めています。
ボイスチャットをするならマイクを足す
HD 560S にはマイクがありません。開放型なので周りの音はほとんど遮らず、音漏れも大きいです(RTINGS)。
マイクの足し方は 3 つあります。1 つ目は純正のブームマイク「HD 500 BAM」です(2025 年 10 月 28 日発売、発売時の店頭想定価格 9,900 円)。ヘッドホンのケーブルと差し替えて使います。本体側は 2.5mm のツイストロック、機器側は 3.5mm の 4 極(CTIA)で、手元に音量ホイールとミュートスイッチがあります。マイクは 10mm のコンデンサーで、単一指向性です。Digit は、声ははっきり届くとする一方、周りの音も少し入る(MacBook の内蔵マイクよりはずっと少ない)としています。開放型の HD 560S と組み合わせると、大きな物音は自分にも相手にも聞こえ、うるさい場所では聞く音もマイクの音も悪くなる、とも書いています。
HD 500 BAM は日本の公式ストアでは扱っていません(10 月 7 日時点)。Amazon では販売元が Amazon.co.jp でない出品があり、その場合はメーカー保証の対象外です。e☆イヤホンなど、ゼンハイザーの正規販売店の一覧に載っている店で買うのが確実です。
2 つ目は、公式ストアで売っているマイク付きケーブル「HD 5X8 and HD 5X9 Cable PTT」(10 月 7 日時点で 6,600 円)です。長さ 1.2m で、通話用のボタンが 1 個付き、音量の調整はできません。対応機種に HD 560S が入っています。
3 つ目は、USB マイクなどを別に置く方法です。RTINGS も、外付けのマイクがあれば、有線のゲームに「まずまず」使えるとしています。
PC につなぐ時
今の版のプラグは 3.5mm のステレオミニなので、PC のヘッドホン端子にそのまま挿せます。感度は公式で 110dB(1kHz・1V)、diyaudioheaven の実測は 108dB/V です。diyaudioheaven は、スマホからでも普通の音量は出るが、とても大きな音量では電圧に余裕のある機器が良いとしています。Audio Science Review も、感度が平均より低いので、出力に余裕がある方が良いとしています。
マイクを足すと、プラグは 4 極(CTIA)になります。4 極のヘッドセット端子に挿して使います。ゼンハイザーは、マイクに要る電源を出さない機器もあり、スマホ・タブレット・PC によっては変換アダプターが要ることがある、と書いています(HD 500 BAM 仕様書)。ヘッドホンとマイクの端子が分かれた PC では Y 字の変換が要ります。HD 500 BAM には PC 用の Y 字アダプターが付きます。マイク付きケーブルの仕様には含まれていません。
主な仕様
| 形式 | 開放型・オーバーイヤー・有線 |
|---|---|
| ドライバー | 38mm ダイナミック(傾けた配置。角度は diyaudioheaven によると約 9°) |
| 再生周波数帯域 | 6Hz〜38kHz |
| インピーダンス | 120Ω |
| 感度 | 110dB(1kHz・1V。diyaudioheaven の実測は 108dB/V) |
| ひずみ率 | 0.05% 未満(90dB の時) |
| 重さ | 約 240g(ケーブルを除く。日本での発売時の発表。diyaudioheaven の実測も 240g) |
| イヤーパッド | ベロア(交換できる) |
| ケーブル | 着脱式で左側から片出し(本体側は 2.5mm ツイストロック)。今の版は 1.8m・3.5mm プラグ(ねじ込み式 6.3mm 変換付き)。発売時は 3m・6.3mm プラグ |
| マイク | なし(別売の HD 500 BAM やマイク付きケーブルで足せる) |
| 品番 | 509144(JAN 4044155257267) |
| 保証 | 24 か月(付属のアクセサリー、通常の使用による摩耗、イヤーパッドやケーブルなどの消耗品は対象外) |
| 日本での発売 | 2021 年 4 月 28 日(オープンプライス。発売時の直販価格 27,500 円) |
| 公式ストアの価格 | 29,920 円(2026 年 10 月 7 日時点、在庫あり) |
良い点と気になる点
良い点
- 音が平坦で、左右の定位が正確(RTINGS)。目標の特性によく沿っていて、EQ は必須ではない(Audio Science Review)
- 軽くて付け心地が良い(RTINGS・Audio Science Review・What Hi-Fi?)
- 左右の広がりがあり、細かい音まで聞こえる(What Hi-Fi?・diyaudioheaven)
- 付け直しても音が変わりにくく、眼鏡や厚い髪の影響も受けにくい(RTINGS)
- 高い音域のひずみがとても小さい(Audio Science Review)
- 純正のブームマイク(HD 500 BAM)やマイク付きケーブルで、後からマイクを足せる(ゼンハイザー)
気になる点
- マイクが無い(RTINGS)。ボイスチャットには別に用意が要る
- 周りの音をほとんど遮らず、音漏れも大きい(RTINGS)。静かな部屋で使う物
- 低音の深いところが少し足りない(RTINGS・Audio Science Review)。What Hi-Fi? は、勢いや活気では他の製品に負けるとしている
- 高音にいくつか山があり、シンバルが鈍く聞こえたり刺さったりすることがある(RTINGS)。音量を上げると低音のひずみが急に増え、EQ で低音を足せるのは小〜中くらいの音量まで(Audio Science Review。RTINGS と diyaudioheaven の計測では、問題になるひずみは出ていない)
- 感度は平均より低め(Audio Science Review)。スマホでも普通の音量は出るが、とても大きな音量にはスマホや USB ドングルより電圧に余裕のある機器が要る(diyaudioheaven)
- 側圧はやや強め。ヘッドバンドのパッドは自分で交換できず、ケーブルに触れた音が少し耳に伝わる。HD 600 系より作りが少し安っぽい(いずれも diyaudioheaven。What Hi-Fi? は作りがしっかりしていると評価)
向いている人
おすすめできる人
- 静かな部屋で、PC やゲーム機で遊ぶ人
- 足音や銃声の方向を聞き分けたい人
- ゲームも音楽も動画も、1 つのヘッドホンで済ませたい人
- 長い時間付けたままの人
別の機種が合う人
- 周りがうるさい部屋や、音漏れを気にする部屋で使う人(密閉型で、マイク付きケーブルが付く HD 569 が合う)
- マイクまで 1 台で済ませたい人(マイク付きのゲーミングヘッドセットが合う)
- 外に持ち出す人(大きく、遮音しない。RTINGS)
- 低音の迫力がほしい人
- 無線で使いたい人(有線だけ)
比べる相手
- Sennheiser HD 550同じ HD 500 シリーズで、価格が上の兄弟機(ゼンハイザーは音の優劣をつけていない。PHILE WEB)。2025 年 4 月発売で、公式ストア 49,940 円(2026 年 10 月 7 日時点。オープン価格で、発売時の店頭予想価格は 54,450 円前後)。150Ω・237g。HD 500 BAM も使える。VGP2026 SUMMER の金賞(開放型オーバーヘッド型ヘッドホン 3 万円以上 5 万円未満)。
- audio-technica ATH-R50x同じ価格帯の開放型。2025 年 2 月発売、オープン価格(発売時の直販価格 27,830 円)。207g と軽く、3m と 1.2m のケーブルが付く。VGP2026 SUMMER の金賞(開放型オーバーヘッド型ヘッドホン 2 万円以上 3 万円未満)。マイクは別に用意する。
- Sennheiser HD 569音漏れを抑えたい人向けの密閉型。マイク付きの 1.2m ケーブルが付く。公式ストア 21,890 円(2026 年 10 月 7 日時点)。
ゼンハイザー 公式ストア(HD 560S)
ゼンハイザー 米国の製品ページ(付属品・周波数特性)
ゼンハイザー 発表資料(2020 年の発売)
ゼンハイザー ゲーム向けの紹介ページ
ゼンハイザー 詳細な保証情報
ゼンハイザー 私の製品は保証対象ですか?(消耗品の扱い)
ゼンハイザー 正規販売店
ゼンハイザー 公式ストア 特定商取引法に基づく表示
ゼンハイザー 公式ストア(マイク付きケーブル)
ゼンハイザー HD 500 BAM 仕様書
ゼンハイザー 公式ストア(HD 550)
ゼンハイザー 公式ストア(HD 569)
AV Watch: HD 560S の発売
マイナビニュース: HD 560S の発売
Stereo Sound ONLINE: HD 560S の発売
AV Watch: HD 400 PRO
PHILE WEB: HD 550
PHILE WEB: HD 505
AV Watch: HD 550 と HD 505
AV Watch: Sonova のコンシューマ事業売却
Sonova 年次報告 2025/26(注記 6.3)
GAME Watch: HD 500 BAM
AV Watch: ATH-R50x
オーディオテクニカ: ATH-R50x
RTINGS: レビュー
Audio Science Review: レビュー
What Hi-Fi?: レビュー
diyaudioheaven: 計測
Digit: HD 500 BAM と HD 560S
ProSettings: プロのヘッドセットの使用率
VGP2021 SUMMER
VGP2022
VGP2022 SUMMER
VGP2023
VGP2023 SUMMER
VGP2024
VGP2024 SUMMER
VGP2025
VGP2025 SUMMER
VGP2026
VGP2026 SUMMER
この記事は、メーカーの仕様と、第三者の計測やレビューをもとにまとめています(編集部による実機の検証はしていません)。数字は出典の時点の物です。Amazon へのリンクは広告(Amazon アソシエイト)です。メーカーからの依頼や提供は受けていません。